【料理人が作る料理は不健康!?】
健幸料理家 佐藤周生です。
今回は「栄養素を逃がさない夏の定番煮物」を伝授します!
和食の煮物で量の多い煮汁で時間をかけて焚く煮物(「含め煮」という種類の煮物)というのは、大まかに2つに分かれます。
「基本焚き」と「直焚き」
「基本焚き」(俗語)は、食材切る⇒下茹でする⇒煮汁を作る⇒食材を加えて煮る。
「直焚き」は、食材切る⇒煮汁を作る⇒食材を加えて煮る。
この違いは、下茹でするか?しないか?
下茹で「有り」すると、その分、調理時間が長くなりますが、食材のエグミや苦みが抜け、やわらかく仕上がり、煮汁も濁らず綺麗に・より美味しく仕上がります。
下茹でを「無し」にすると、その作業の手間は省けて時短になる分、エグミや苦みは残り味の質は若干落ちる…
また、煮汁の煮詰め加減と食材がやわらかく仕上がるポイントを一致させないといけない難しさがあります。
(※食材がやわらかくなった時点(出来上がった時点)で、もし煮汁が煮詰まり過ぎていると味が濃くなってしまう)
調理法的には「基本焚き」と「直焚き」どちらも、そういったメリット・デメリットがあると。
なので、「美味しく仕上げる」を優先すれば失敗しにくい「基本焚き」がおすすめです。
やっぱり料理は、おいしく食べたいですよね。
ですが!
健康のために「栄養素を摂る」を優先した場合は、「直焚き」のほうがいいのですね。
なぜなら、「基本焚き」の「下茹で」は栄養素を捨ててしまう作業だから…
ビタミン・ミネラル・ファイトケミカル(ポリフェノール)・食物繊維には、水溶性の栄養素も含むのですが、
「水溶性の栄養素」は、字のごとく、すごく水分に溶け出る…
要は、下茹ですると、茹で汁にそれらの貴重な栄養素が出て行ってしまうと。
食材を下茹でした場合、茹で汁は捨てるのが普通です。(下茹で後、水で晒して冷ましますが、この時に捨ててしまっている)
「基本焚き」で作った煮物は美味しい反面、多くの栄養素を失っている。
そう考えるとすごく勿体ない気がしてきませんか?…
エグミや苦みなどは味的にはマイナスですが、それらはカラダに必須の栄養素だったりするわけです。(ポリフェノールやミネラル)
だから、「直焚き」の煮物…
言い換えれば、昔ながらの「おばぁちゃんが作るような煮物」のほうが健康にはいいわけです。
おばぁちゃんが作る大根の煮物ってちょっとエグミを感じたりするじゃないですか?
反対にプロの料理人が作る煮物は、エグミが抜けて栄養が少ない。
健康面で考えれば、不健康な料理です…
私たちが普段、家で食べる食事では、元気に生きるために(体を治すためにも)「栄養素をできるだけ多く摂る」ことが優先ですよね?
もちろん「美味しい!」を味わうことで、心が満たされてストレスが和らぎ、精神的な効果に繋がることもあります。
でも、それと同じくらい…いやそれ以上に栄養素を摂ることも重要ではないでしょうか?
病気にならないために…健康に生き続けるために…
実際、現代人は加工食品を食べることが多く、ミネラル不足であらゆる病気を発症しているともいわれています。(加工食品の多くは、かなりミネラルを失っています)
子供さんの発達障害や大人の精神疾患などもミネラル不足が原因の場合があるようです…
ということで、私考えました。
できるだけ、美味しく・仕上がりも綺麗で・何より栄養素をたっぷり残した煮物の作り方…
それは、
下茹で作業は行うけれど、茹で汁を捨てずに利用するという「基本焚き」に近い方法。
要は、ゆで汁を煮汁に使うわけです。
これなら、茹で汁に溶け出た栄養素を摂ることができます。
例えば、このような料理なら、より栄養素を無駄にしない…
それが、『冬瓜の鶏そぼろあん』
『冬瓜の鶏そぼろあん』は、「煮汁を”そぼろあん”に仕上げる」ので、煮汁も食べることになり多くの栄養素が摂れると…
そして「味」…
「鶏ひき肉」のうま味とコクが加わった「そぼろあん」が、やわらかく煮上がった冬瓜に絡むと、とろみ食感と共にほろほろっと口の中で溶けていく…
和食店で食べるような『冬瓜の鶏そぼろあん』の独特の味わいを楽しんで頂けます。
私、冬瓜料理は、これまでにも様々お伝えしてますが、
やっぱり、今回の定番のそぼろ煮に仕上げた冬瓜が一番美味しく感じましたね。
では、詳しいレシピみて下さい!
↓↓
【材料】(3~4人前) | 分量 | 備考 |
冬瓜(大) | 1/8コ(500g) | 皮が濃い緑色の冬瓜を選ぶ (仕上がりが綺麗になる) |
鶏もも肉のひき肉 | 130g | |
生姜 | 輪切り7枚(15g) | |
茹で汁+水 | 560cc | 冬瓜の茹で汁と、 足りない分、水を足す |
酒 | 大さじ2杯(30cc) | |
みりん | 大さじ2杯と小さじ2杯 (40cc) | |
淡口しょう油 | 大さじ2杯と小さじ2杯 (40cc) | |
粉パプリカ | 少々 | |
水溶き片栗粉 | 片栗粉 大さじ1杯と1/2杯 水 大さじ2杯 |
1、冬瓜(1/8コ)は、スプーンで皮を削り落とします。
外側の硬い皮(濃い緑)だけを削って下さい。
内側の黄緑の皮(?)は、残すようにします。
(それが残っていることで見た目の仕上がりが良くになります。綺麗な翡翠色になる)
2、種の部分を切り取ります。
果肉の部分と種の部分の境目があるので、そこを目安に切り取る。
3、縦半分に切り分け、半分を6~7等分(1.5cm~2cm幅)に切ります。
※細い部分(画像の左端)は幅を広くする。(大きさが揃う)
【注】ここで生姜も切っておく(輪切り約15g)
4、鍋に冬瓜を入れ、水(600cc)を加えて強火にかけます。
5、沸騰してきたら、中火にして茹でます。
6、10分ほど茹で、串をさしてやわらかくなっていれば火を止めます。
※若干硬さが残っているくらいのやわらかさ。
7、ゆで汁ごと、ボウルに移し替えます。
※冬瓜がつぶれないようにゆっくり移し替える。
8、鍋にひき肉(130g)と酒(大2)を入れ、中火にかけます。
混ぜながら加熱し、全体に熱が通ったら(白くなったら)、弱火にします。
9、冬瓜のゆで汁を560cc分、鍋に入れます。(弱火のまま)
※ゆで汁が足りない場合は、水を足す。
10、みりん・淡口しょう油(各大2+小2)を加えます。(弱火のまま)
11、輪切り生姜と茹でた冬瓜を加え、強火にします。
12、沸騰してきたら中火(の弱)にし、アクと脂分をすくい取ります。(1回でOK)
※脂分は取り過ぎるとコクが減るので、取りすぎない。
13、中火(の弱)のまま、20分焚きます。
14、焚いている間に水溶き片栗粉を準備します。
片栗粉(大1と1/2)と水(大2)を加えておく。(あとで混ぜる)
15、20分焚いたら火を止め、煮汁を2/3、別の鍋に取り出します。
(ひき肉が混ざってもOK、生姜は除く)
16、生姜を取り除いておきます。
17、煮汁にとろみを付けます。
(15、)の鍋を中火にかけ、水溶き片栗粉を混ぜて、
煮汁が沸騰したところに少量ずつ加えます。
※煮汁を混ぜながら、水溶き片栗粉を加える。
18、とろみがついたら、冬瓜の鍋に戻します。
19、冬瓜がつぶれない程度に”鍋をゆすって”、
「冬瓜に残した煮汁」と「とろみの煮汁」を混ぜ合わせます。
※玉じゃくしなど道具を使うと冬瓜が崩れるので鍋をゆする。
20、煮汁が混ざったら出来上がり!
21、小鉢に並べて盛ります。(3~5カン)
※菜箸ですとチカラ加減が難しく、崩れやすいので「しゃもじ」などで1個づつ丁寧に盛るほうがおすすめです。
22、そぼろあんをたっぷりかけ、粉パプリカをふって完成です!
下茹でのゆで汁を煮汁に活用することで、冬瓜から溶け出た栄養素も無駄なく摂ることができます!
そして、
程よい味加減の「そぼろあん」で冬瓜を優しい味わいで楽しめる!
冬瓜の定番料理を是非、作ってみて下さい。
⇒こちら(クリック)の冬瓜レシピもおすすめ!
この記事へのコメントはありません。