熱々!生揚げ

「生揚げ」で思い出すあの”事故”

佐藤です。

今回の料理は

「揚げたての厚揚げ、”生揚げ”」

を伝授します。

生揚げとは、厚揚げのことです。

ほどよく水分を搾った厚切りのもめん豆腐に粉をつけて油でカラッと揚げ、葱やしょうがやかつお節の薬味と濃口醤油をかけて、揚げ立てで食べる料理です。

出来立ての”厚揚げ”ですね。

口の中を火傷しそうになるほど激熱ですが、めっちゃ旨い酒の肴になる一品です。

私は、この料理を20歳の時に伝授されましたが”厚揚げ”とは言わず「生揚げ」という名で教えられました。

「生揚げ」の由来は中の豆腐の部分がなくなるほど長時間揚げる”油揚げ”とは違い、厚切りで中が豆腐の状態を保ったまま揚げるところから”豆腐が「生」のまま”と言う意味で付いた名です。

この料理、もめん豆腐を油で揚げるだけ、シンプルで簡単ですごく美味しいのですが、私にはどうしても思い出す”情けない話”があります…

私は、和食の料理人めざし、高校卒業後18歳で岡山から大阪へ修行に行きました。

2年経った20歳の頃、大阪の生活にも慣れ、人見知りの激しい私でも、さすがに周りの人に溶け込めるようになっていました。

お世話になった和食店(大衆割烹)はワンフロアーで140席もある大型店です。

お客さんは、バブル絶頂(終わりかけ?)のサラリーマンばかり。

週3日は完全満席、滅茶苦茶忙しい店だったので、アルバイトの大学生も10人以上。

厨房で働く若い私たちと同年代の子ばかりでした。

みんなで呑みに行ったり遊びに行ったりもよくありました。

そうすると…

毎日働き詰めの私たちは、女の子との出会いなど皆無。

必然的に身近な女の子に恋し、カップルが多々結成されます。

私もその1人でした。

大阪に来て初めて付き合った一つ年下の彼女。

みんなからちょこちょこイジられるおとなしくて可愛らしい子です。

私は、来阪後すぐ車(三菱ランサー)を購入していたので毎週日曜日はドライブです。

が、事故を起こしました。

と言っても”自爆”です…

その時期、私は、同僚の調理師たちより仕事の器量が劣っていたので落ち込んでいました。

帰りの電車では、
「みんなできるのに…何でオレは、こんな弱い人間なんだ、駄目なヤツだ…」

毎日毎日、自分を責めてました。

気分が落ち込んでくると鬱病になるんじゃないかと考え,「鬱にならないための本」という書籍を読み始めました。

今思えばこの本を読んだことが一番よくなかったと思っています。

なぜなら、「鬱にならない」どころかさらに落ち込むようになり、少し「鬱」になったからです…

そんな精神状態で彼女を車にのせ、運転していたので頭の中も正常ではありません。

その日も、彼女にはわからないようにしてましたが、かなり気分は落ち込んでました。

帰り道ある交差点で、左折をしようと信号待ちをしていました。

信号が青になりゆっくり進みながらハンドルを左にきり左折しました。

が、何を思ったのか私はハンドルを左にきったままアクセルを思いっきり強く踏み込みました。

『ガシャンッ!!』

もの凄い勢いで左のガードレールにぶち当たりました。

車の前面は大破、シートベルトをしてなかった彼女は、勢いで前に飛び出しフロントガラスに頭を強打しました。

フロントガラスには、ヒビが…

私は、気が動転しました。

が、何とか平常心を保って

「大丈夫か!すぐ病院に行くから!」

といいました。

が、彼女はあっけらかんとして、

「大丈夫、平気。私、石頭だから…」

と病院を拒否。

血も出てなく、いたって普通で大丈夫そうだったので、病院には行かず彼女を家に送ることにしました。

車も普通に動いたので、そのまま乗せていきました。

家に着き、彼女のお母さんに詳しく事情を説明、念のため病院に検査に行くことになりました。

幸い何の異常も無く、小さいタンコブができた程度で大事には至りませんでした。

ほんとに石頭だったみたいです…

私は、ヤバイ精神状態なのに車を運転して彼女を大ケガさせそうになる情けない男です…

そんな心の弱い人間です。

今もあまり変わってない気がします…

当時私は「揚げ場」担当でした。

なので、よく注文が入る単品揚げ物の中でも一日10食以上売れて目に焼きついた「生揚げ」を見ると、どうしても”事故のこと”を思い出します。

暗い話になってすいません。

が、「揚げたて”生揚げ”」は、美味しくて誰でも簡単にできるので作り方説明します。

揚げ物が最もカラッと揚がる”秘密の粉”も暴露します!
↓↓

【材料】(1人前)
もめん豆腐…200g
刻みネギ…適量
おろししょうが…少量
かつお節…1/2つかみ
カラッと揚がる秘密の”粉”
↓↓
上新粉(米粉の一種)…適量
(片栗粉よりカラッと揚がります。
なので鶏のから揚げも上新粉がおすすめです)

1、揚げ油約500ccを鍋に準備し中火で熱してすぐに揚げられる状態にします。

(揚げ油は豆腐がギリギリ油に浸かるくらいの量を入れます)
2、もめん豆腐は半分に切って、キッチンペーパーなどで、水気を取ります。

(潰れない程度に手で押さえます)
3、ボウルに上新粉を入れ水気をきったもめん豆腐に全体にまんべんなく付けます。

最後、手で軽くはたいて余分な粉を落とします。
4、豆腐のかけらを油に落として、揚げ温度をみます。

すぐに浮いてきたら適温です。

浮いてくるのが遅い場合は、強火にして温度を上げ、再度豆腐のかけらを落として確認します。

上新粉を付けた豆腐を手でそろ~っと入れます。

(油に入りきるギリギリまで豆腐を離さないようにします。
投げるように入れると余計に油が飛び散って危険です)

中火よりやや弱火で揚げていきます。
5、1分半ほど揚げたら裏返し、さらに1分半揚げます。

油の量が少ないので豆腐の鍋底に触れている面が焦げてきます。

なので、焦げないよう菜箸で豆腐を動かしながら揚げます。
6、生揚げがカラッと揚がったら取り出します。

(箸で掴めそうにない時は、網お玉(カスすくい)で取り出します)
7、まな板におき、包丁で3等分に切ります。

(力を入れて切ると潰れるので、のこぎりを使う要領で包丁を前後に動かしながら切り込むようにします。
表面だけを切るイメージです。
切り込めれば、中は軟らかいのでスッと切れます)
8、生揚げを器に盛り付け、刻みネギ、おろししょうがを添えます。

かつお節を上にのせ完成!

濃口しょう油を少量ずつかけながら食べてください。

外はサクッ、中は柔らか激熱!

「はふッ、はふッ」言いながら食べられて、酒が進みます。

是非!作ってくださいね!

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