佐藤です。
今回は、レシピの紹介ではないのですが、私のことを少し知って貰えたらと思い、
「ネットで料理を伝えること」を始めたキッカケの1つをちょっとお話しすることにしました…
私のプロフィールほうでも、お話ししている話ですが、おそらく読んでくれていない方がほとんど(笑)だと思うので、話しておこうと思います。
…
私は、32歳になる少し前、和風の「創作料理店」に勤めていました。
その店、社員は、店長と私ともう1人31歳の調理師さんの3人だけ…
他の従業員は、アルバイトの高校生や大学生の子ばかりでした。
私が居た当時で、アルバイトの子は、12~13人はいたかと思います。
4階建ての縦長の建物が全部が店舗になっていて、総席数140席の大箱…
週末の金、土は必ず満席です。
強烈な忙しさになります。
忙しい日は、各階2人づつは、ホールスタッフが必要…
調理師、調理補助、洗い場のアルバイトを合わせると、最低12人は、必要なわけです。
それまでに働いてきた店でも、アルバイトの学生はいましたが、ここまで、多い店は初めてでした。
これだけ、アルバイトの子がたくさんいると、礼儀の知らない子、性格にクセのある子もいるので、私は、そういう子を見ると「このクソガキ!」といつもムカついていました。
しかし、忙しい中で、がんばっていっしょに働いてきた仲間なので、ムカつきながらも、まかないは必ず全員に同じように作ってあげました。
この店は、まかないに対して食事の制限がなく、ケチケチしてなかったので豪勢なまかないもちょくちょく作ってあげました。
なので、私が作る”まかない”が楽しみで、バイトに来る子もいました。
「佐藤さん、ご馳走様でした!美味しかったです!」と言われれば、やっぱり嬉しいものです。
「めんどくさいけど、また旨いもん作ってやるか!」と思えます。
まかないは、忙しさがおさまった時間帯に食べるのでゆったりしていることが多く、 アルバイトの子とまったり話をすることもありました…礼儀知らずの子でも話をすると根は良い子だったりします。
ある日、まかないで「具沢山のみそ汁」を作りました。
一人性格にクセのある18歳の女子高生がいまして、まかない食べながら、携帯いじったり、電話しながら食べたりするような子…
でも、「それは、あかんでやめとけよ」 といえば素直に聞く子でした。
(かなり怒りを抑えてましたが…)
その子が、その「具沢山のみそ汁」を食べた時でした。
「これ美味しい…、美味しいです!初めて食べました」
というのです。
ちょっと感動しているようにも見えました。
普段から食べている人にとったら、ただの”味噌汁”です。
それを今までに食べたことが無かったと言うのです。
よくよく話を聞くと、両親はその子が幼い頃に離婚し、父親に育てられたと…
外食、ファーストフード、惣菜、そんなものばかり食べて育ち、まともな手作りの料理を食べたことがなかったのです。
私は、そんな子がたくさんいることを話では聞いたことがありましたが、実際に目の前にそんな子がいる現実を思い知らされると、悲しい気持ちになりました。
実は、こういった子はその店に一人だけではなかったのです。
あとあと分かったことですが、両親が離婚していたり、片親が亡くなっていたりなどそんな子が5,6人もいたのです。
例えば、 母親に育てられたが、料理ができない親で、不味い料理しか食べてこなかったり、家に帰らず、コンビニの駐車場でカップラーメンばかり食べている子など、愛情のある”美味しい料理”を食べられずに、生きてきた子がたくさんいたのです。
私は、同じアルバイトの子でも食べてきた物が違うと、こんなに差が出るものなのか? と複雑な気持ちと共にかわいそうな気持ちにもなりました。
世の中には、美味しいものがたくさんあります。
なのにその子たちは、18年~20年生きてきて、美味しいものをほとんど食べたことがなかったわけです。
この一見があってから、せめてここで働いている間は、
「美味しいものを食べさせて幸せな気持ちにさせてやろう…」
と思うようになりました。
このことで、まかない料理にどれくらい私の愛情がこもる様になったか分かりませんが、私が店を辞めるときには、アルバイトの子、全員から、
「まかない、美味しかったです!」
などと書かれた寄せ書きをもらいました。
気が付くと「美味しいまかない」=「佐藤」になってました。
私は、思いました…
「ほんとに美味しい手作りの料理を食べずに育った子たちは、ファーストフードやインスタントの食品がすごく美味しいものだと勘違いしているのではないか」と。
このまま大人になれば、そういったものが当たり前に美味しいものだと認識し続けます。
その子たちが自分の子に伝えてしまえば、またそんな子が育つ… どんどん悪循環に陥ります。
『美味しいものを食べたい』という強い欲求をもつ人間にとって本当に美味しいものを知らずに生きていくのはすごく寂しいことです。
大げさな考え方かも知れません。
ですが、私はこのことを少しでも「食い止めたい」と思うようになりました。
私、一人何かしたところで何も変わらないかもしれません。
でも、何もやらないのは”見てみぬふり”をする卑怯な人間と同じ。
「今の自分にできることをやろう」
と考えました。
直接若い子たちに料理を伝えることも考えたりしましたが、それより、今現在、料理に興味のある人や実際料理を作る機会の多い人から美味しい料理を伝えていく…
そのほうが、「早く、たくさんの人に伝わるのでは?」と考えたのです。
たくさんの人に早く伝わる”インターネット”で…
私は、自分から人に料理を伝えるなど考えたこともなかったです。
職人思考のかたまりです。
その私が、料理をたくさんの人に伝えようと思ったのは上記のことが1つ、きっかけです。
少しでも早く、若い子達に世の中にはほんとに美味しい料理があるのだということが伝わっていけばと思ってます。
これからも、あなたには美味しいのはもちろん、早くて簡単な料理、 そして、心がこもる、料理を伝授していきます。
長くなりましたが、最後まで読んで頂きありがとうございます。
今後ともよろしくお願いします。
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