【安さだけで選ぶと…】
佐藤 周生です。
今回は、
「このみりんを使うと煮物で失敗します…」
という話をします。
みりんは、煮物では必ずと言っていいほど使う調味料の1つ。
私のレシピでも、あまり砂糖を使わない分、みりんを多く使います。
そのみりんの役目といえば、
・甘みを付ける
・料理に照り、艶を出す
・煮崩れを防ぐ
・臭み消し味をしみ込ませる
基本的にはこういった効果があります。
でも、みりんを使って、「なぜか煮物が美味しくならない…」といった経験をしたことはありませんか?…
実は、みりん…種類によって落とし穴が隠れている…
みりんといっても、3種類あります。
ご存知の方も多いと思いますが、
「本みりん」
「みりん風調味料」
「みりんタイプ発酵調味料」
どれも甘味料として使えるのですが、それぞれの特徴を理解して使わないと料理で上手くいかないことがある..
まず、
「本みりん」は、米と麹を混ぜ、アルコールを加えて糖化・熟成させたもの。
アルコール分が14%くらいあってお酒の扱い。
酒類になる。
なので、スーパーでは酒のコーナーに置いてある場合もあります。
それと酒類なので酒税がかかる…
それで「本みりん」は高いのですね。
昔は、砂糖などなかったので、料理屋さんでは、本みりんが甘味料の主流だったそうです。
また、みりんは「赤酒」ともいいます。
江戸時代には、甘いワインのような感じで、高級酒として飲用されていたようです。
で、「本みりんは高くて買えない…」という要望に応えてできたのが
「みりん風調味料」
みりんのベースになるもの、または、ブドウ糖・水あめなどに旨味調味料を加えて味調整しています。
アルコール分は、1%以下なので、酒類に含まず甘味調味なので、酒税税もかからなくて安い。
そして3つ目、
「みりんタイプ発酵調味料」
実は、これが「落とし穴」のみりん。
ベースは、「本みりん」と同じ、米と麹に、アルコールを加えて糖化・熟成させたものですが、これに塩を加えて、酒類として扱わないようにしてあります。
(塩を加えると飲用できないため。料理酒も同様に塩を加えてあります)
酒類にならないので、安価で提供できる。
しかし、その「塩」が曲者で、煮物で使うと塩辛くなる…
レシピ通りに作ったとしても美味しくできないわけです。
上記の写真は、「みりんタイプ発酵調味料」の原材料。
”食塩”って書いてますよね。
また、酸味料なども加えてあるので、特に煮物では煮汁が煮詰まっていくので、味が変化しますから、だんだん複雑な味になる。
それで、
「あれ?なんか美味しくない..」
と、他の調味料など足しているうちにどんどん不味くなる…最悪、ドツボにはまって大失敗するわけです…
実は、以前は私、「みりんタイプ発酵調味料」というみりんを知りませんでした。
「本みりん」と「みりん風調味料」だけだと思い込んいたと。
かなり前の話ですが、これに気付づかせて下さったのが私のマンツーマンレッスンにご参加された方。
煮物をお伝えするレッスンの時でした…
どの煮物を作っても「塩からくなります…」とおしゃるので、原因としては一番に煮込み過ぎが考えられるので、「焚き過ぎかもしれません」とお伝えしました。
それでも改善出来なかったので、ず~っと「なんでかな??」と考えていた矢先…
「このみりん、原材料見たら塩が入ってました」と教えて下さったのですね。
「間違いない、それだ!」
で、いろいろ調べると「みりん風調味料」ではなく、「みりんタイプ発酵調味料」なるものがあることを知ったわけです。
「こんなん、あるんや…」
本来、私が気付いてお伝えしないといけなかったところを気付かせて下さったということです。
というわけで、「みりんタイプ発酵調味料」は使わず、できれば「本みりん」を使って欲しいです。
「本みりん」はちょっと高いですが、美味しい料理を作って頂きたいので、ここはちょっとこだわって頂きたい。
「みりん風調味料」なら塩分が無い分少しマシですが、やはり酸味料、旨味調味料なども加わっているので、味が複雑になる…
あまりおすすめではないです。
「安さ」は、食費的にはメリットですが「料理の味」ではデメリットになることも….これ、ちょっと考えて頂きたいです。
「みりんタイプ発酵調味料」は、ドレッシングなどなら使えると思います。
加熱しないので味の変化が少ないからです。
ですが、塩気は考慮して味付けして頂きたい。
これは、料理酒も同様です。
(酒は、清酒がおすすめです…)
今回の話、参考になれば幸いです。
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